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161号 感話:出遇いと再会をよろこぶ [ 平成30年4月30日 ]

お取越し報恩講の御礼

161号 感話:出遇いと再会をよろこぶ  今年の桜は早かったです。例年ならお取越しの頃に桜が見頃ですが、今年は葉桜になっていました。前日までぐずついていたお天気も回復して気持ちのいい日和となりました。大勢の方々からお参りいただき、また元上組のご法中(お坊様)にも賑々しくお勤めいただきました。親鸞さまのご遺徳、ご恩にともども感謝することができました。
 ご法話は本願寺布教使真敷祐孝先生にいただきました。医学の進歩は日進月歩ですが、それでも私たちのいのちは終える日が必ず来ます。どんな終わり方をしたいですか。「ゆっくりと衰えて終えていく」「病気になって急に衰えて終わる」「ある日突然に終わりの時がやってくる」。いずれにしてもどう望んでも思い通りにはいきません。私たちは医学を過信していませんか。お医者さんにかかればなんとか治してくれると期待していませんか。お医者さんの側からは、自分たちのできることはいくらもないのだそうです。そうだなと思いました。
 健康なときには明日があるのは当たり前で有り難いとも感じませんが、先生は、前住様のお言葉を引かれて「病院に入院して初めて差し込む朝日が有り難いと思えるようになりました」と振り返られました。 「如来の作願をたづぬれば 苦悩の有情をすてずして 回向を首としたまひて 大悲心をば成就せり」
 前住様がベッドの上で手をあわされたであろうお姿が目に浮かびました。


託念寺動物共同墓「動物のお墓」利用規程(抜粋)

161号 感話:出遇いと再会をよろこぶ 名称: 託念寺の動物共同墓を「動物のお墓」とする。
目的: 犬や猫など愛玩動物の埋葬希望に応えるため。また、生きもののいのちを大切に思うこころを育み、子ども若者ご縁つくりの一助とする。
利用者: 浄土真宗の門信徒、あるいは託念寺および前川保育園にゆかりのある方とする。
納骨冥加代: 納骨1体につき5千円とする(読経懇志も含む)。護持、管理は託念寺が行い、その費用は利用者には求めない。
動物のお墓 謝恩参拝: 秋の彼岸会(家族礼拝の日)に有縁の方々と共に謝恩の読経を勤める。



動物のお墓 建碑入仏読経

161号 感話:出遇いと再会をよろこぶ 4月18日建碑入仏読経を勤めました。多くの方にご利用いただきたいと思います。5月3日(木)に長岡ケーブルテレビ「寺院散歩」でお取越の様子とともに映像が流れます。ご覧下さい。


感話 出遇いと再会をよろこぶ

161号 感話:出遇いと再会をよろこぶ  嬉しいことがありました。最初の出遇いは今から25年前。ともちゃんが1歳10ヵ月の時、重い難聴があることがわかり、当時私が勤務していた横須賀市にある国立特殊教育研究所に来所されました。それから5年間教育相談として関わりました。補聴器をつけることからはじまり、音への反応やことばの発達の様子をともちゃんのお母さんは、丁寧にノートに記録されました。3年間でノートは5,6冊になったでしょうか。どんな思いでともちゃんと向き合い、家族でどんな係わりをしていたかが生き生きと綴られていました。私はその記録を研究論文にしてまとめました。その後、難聴の子育てや教育に係わる人に役立ててもらおうと市販の出版本の中でも紹介しました。ともちゃんとお母さんにその本が出来上がったことを報告するため横浜で会ったのが17年前のこと、ともちゃんは10歳になっていました。
 私は去年まで横浜国大で聴覚障害教育に関する講義をさせてもらっていました。講義のハイライトはいつもともちゃんの発達記録でした。ノートに綴られた記録とともちゃんのビデオです。難聴の有る子どもがどのようにことばを伸ばしていくのか、それを支える母親や家族の係わり方はどうあったらいいのかについて、大きなヒントが見えてきます。ともちゃんへの愛情がいつもベースにあって、母親は自分の思いを伝えたい、ともちゃんの思いが分かりたい、ともちゃんの成長を家族がともに喜ぶ等々。そんな様子が伝わってくるのです。


161号 感話:出遇いと再会をよろこぶ  今年の正月にご両親との再会が実現しました。そして今回はともちゃんがわざわざ休暇をとって長岡に来てくれました。17年経ったともみさんは、立派な社会人になって輝きを放っていました。仕事のこと、恋愛のこと、障がいのこと、将来のことなど話してくれました。我が家に案内し本堂で阿弥陀さまの話になりました。「阿弥陀さまは分け隔てしない仏さまです。ひとりひとりが輝きを放てるようはたらいてくださる仏さまです。だから『平等覚』という別名があるんです」と、私の話はまるで法話のようでした。
 ともみさんは、「生まれる前に障がいがあると分かったら、私は産まないと思うのです」と切り出しました。それは障がいがあって生きることの大変さ、またその家族の苦労を私に訴えるようでした。「ともみさんは生まれてこなければよかったと思っているの?」と私が尋ね返しました。「そうじゃないけど、ウーウ」。顔はニコニコしながら「ウーウゥ」と。
 保育園の園児が描いた阿弥陀さまの絵を見て「同じ阿弥陀さまを見ながら描いているのにこんなに違う絵が34枚ここにあります」「私はこれを『みんなちがってみんないい』と言っています」「仏さまはひとり一人を分け隔てしないで優劣をつけないでありのままに見てくださっているんです」「私たちにはそんな見方はできないけれど、それを目指したいと思っています」「保育園での子育ても同じ気持ちです。」
 ともみさんに山古志の棚田を見せたくて、帰りの新幹線を2本遅らせてドライブをしました。長岡駅に近づいて「山古志の景色よかったでしょう」と私が言うと、「それから先生のお寺で阿弥陀さまにであえたこと」とともみさんが返してくれました。駅で降車して何度も手をふってくれたともみさん、ありがとう。合掌


 上の写真は山古志の棚田風景です。
 いつ見てもきれいです。この景観を保つために多くの人が努力されています。
 下の写真は保育園園児が描いた阿弥陀さまです。


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